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メシアン:トゥランガリーラ交響曲(ミュンフン盤)

そんなわけでチョン・ミュンフンが振っているトゥランガリーラの録音です。

グラモフォンでの彼の持ち上げ方は何というか(フィリップスが大いに利益を上げた)ポスト小沢征爾としての極東マーケットへグラモフォン印の浸透を図ろうとしているのがミエミエでなんか気持ち悪いのだが、少なくともメシアンの録音に関しては優れていると言えるだろう。特に本録音は録音に際してオリヴィエ・メシアンが立ち会っており、解釈については一定の水準は担保できていると考えていいと思う。但し、ハンス・ロスバウトが振った官能性のかけらもない別の意味で楽しい録音に関してもメシアンは結構褒めていたりするので、信頼性はムニャムニャ……かもしれないのだが。

で、演奏の内容は熱っぽく、テンポ自体は結構遅め。特に前後半の締めに当たる第5・第10楽章の演奏は非常に法悦度が高くてウットリできる。また、その他の楽章もイヴォンヌ・ロリオの高水準のピアノの演奏もあって、この広大無辺な交響曲をキッチリ仕上げていると思う。特に第6楽章とかは鳥の歌声を擬したピアノの音色と弦楽のアンサンブルの一体感がこの上ない多幸感を与えてくれること請け合いです。

ただ、敢えて難を言えばこの曲の一つの目玉であるオンド・マルトノの音色が少々小さいこと。原田節がオンド・マルトノを担当しているリッカルド・シャイー&コンセルトヘボウ盤ではこれでもかというくらいにオンド・マルトノが鳴りまくっていて結構楽しいので、できればその位派手目にやって欲しかったなあと思うのです。

そんなわけで今度の演奏会では原田節の演奏も楽しみだったりします。大昔に新星日響の演奏会で聴いたときもそれはそれは愉快に鳴らしていましたし(ちなみにその時の指揮は沼尻竜典、ピアノはミシェル・ベロフであった。今思えば素晴らしいメンツだ)。

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2007年01月05日 00:56に投稿されたエントリーのページです。

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