2010年02月
ハメリン?  (2010.02.21)


今日もフィットネスクラブにて一日運動。色々組み合わせて色々やっておよそ1200Kcal消費。金曜日からノンストップで通っているのでさすがに脚が痛い……

フィットネスクラブにあるエアロバイクには一応テレビ(ただしアナログ)がついており、今日はニュースをチェックするついでにNHKのバンクーバー五輪の結果速報を見ていたのだが、ショートトラックのカナダ代表にフランソワ・ハメリンなる不思議な名前の選手がいることに気がついた。

通常、フランソワは周知の通りフランス系の名前であり、英語圏ではフランシスとかそれっぽい名前になるのが通例である。とするとフランス語の発音規則からすると「H」の音は有音子音としては発音しないので、「ハメリン」という名前は発音上あり得ない。なんだそりゃ?……と名前の綴りを脳内で復元してみると、思い当たるフシがある。
そう、ピアノ音楽好きなら誰でも一度は耳にしたことがあるだろうカナダ・ケベック州出身の超絶技巧ピアニスト、マルカンドレ・アムラン(Marc-André Hamelin)だ。つまり、「フランソワ・ハメリン」なる人物は本来なら「フランソワ・アムラン」と呼ぶのが正しいのである(http://www.ctvolympics.ca/team-canada/athletes/athlete=3317/results/index.html に掲載されているプロフィールによると、彼は今もモントリオールに住んでいるみたいなので英語読みしてやる必要はこれっぽっちもない)。名字を英語読みするなら名前も英語風にするか、某パソ通の文学系会議室のとあるお局様がかつて読み間違えて大顰蹙を買ったように、「フランコイーズ」とかにしてやらねばならない。

まあ、フランス語の発音なんか知ったこっちゃねえよ、という英語の覇権に安住する皆様の粗暴と野蛮と居傲と尊大さ加減はこの際大目に見てやるとしよう。私だってイウォーク語とかバスク語とかアイヌ語とかクリンゴン語のカタカナ化には全く自信がないからね。
むしろ、ここで論われるべきは、マルカンドレ・アムランと名字が同じじゃないかこの人? と気づく人間が誰もいなかった、あるいは気づいた人間がいたとしても訂正意見が全く現れてこなかったという五輪報道関係者の恐るべき無教養と無知とそして組織的硬直である。もっと平たく言ってしまえば五輪報道関係者にはバカしかいないのか? ということだ。
答えはおそらく是であろう。最早斜陽化し没落しつつあるマスメディアには、知性というものや文化的多様性への眼差しを期待するだけ無駄なのだろう。


鬼が笑うぜ  (2010.02.14)


私は飛行機のFFPとしてはANAのANA Milage Club(AMC)を利用している。このプログラムは国際線のエコノミー座席搭乗時マイレージ加算率が50〜70%(ものすごく高い正規運賃だけは100%、ちなみにルフトハンザのFFPはブッキングクラスに関係なくエコノミー加算率100%)だったり、Edyへの換金率がメチャクチャ卑怯だったりするなど色々問題は多いのだが、国内出張時にプラチナポイントをチマチマ貯めたり、カードをEdyの媒体にも使えるので不平をこぼしながら使っている。ただし、マイレージ蓄積率は余りにも低いので、いわゆる「陸マイラー」ではない。メインのクレジットカードはVISAのプロパーカードだったりするし。

不平不満は山ほどあるにはあるのだが、日頃の出張とか旅行とかのマイレージ、ついでにEdy使用に伴うチマチママイレージも結構貯まり、昨日の段階で約10万マイルほどあった。しかしこの蓄積マイルには有効期限があり、今年の夏頃には半分くらいが海の藻屑と消えてしまう。というわけで本来ならこのゴールデンウィークにどっか行って使ってこようかと考えていたのだが、年明けにAMCのサイトを調べてみたら行きたいところはあらかた満席、あるいはブラックアウト期間(特典航空券の数がはじめからゼロの期間。制度の改正によって存在しないことになっているが実際には存在する。ただし上級会員だけは別)に該当するらしく、希望日は全滅。アイゴー!

というわけで、急遽上司に相談しましたよ。というか一方的に宣言して有休取得のOKを取り付けました。そいでもって昨日予約と相成ったわけです。ただし、旅行に行けるのはまたしても年末だぜ! そして帰国予定は2011年だぜ! 鬼が笑うよ! 尚、マイレージ全消費が目的なので、押さえた座席はビジネスクラス。あと2万マイルくらいあればファーストクラスになるらしいんですが、それは次回の楽しみにしておくとしましょう。

で、詳しいことは一緒にアップしたEtixを見て欲しいのですが、今回の旅先はチュニジアと毎度お馴染みフランスのコート・ダジュールです。アフリカ!? と叫ぶと『アストロ球団』の最終回みたいですが、実際小生アフリカ初上陸になります。

チュニジアは以前から行ってみたいと考えていた国の一つで、特にシディ・ブ・サイド(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89)は憧れの街の一つであった。勿論クスクスをはじめとするマグレブ料理も小生の大いに愛するところであり、今度の旅行ではしっかりと堪能したいと思う。


写真を公開しました。  (2010.02.13)

昨年暮れの旅行について、ストラスブール編とパリ編をアップロードしました。
お暇な時にでもご笑覧いただければ幸いです。

ストラスブール編: http://www.myalbum.jp/pc2/album/Albm_Dspy.aspx?albumID=70b7ebe64b40
パリ編: http://www.myalbum.jp/pc2/album/Albm_Dspy.aspx?albumID=ae14bc5dec4b

なお、当日記のアクセス解析はリファラスパムが余りにも多いので削除しました。
エロサイトの連中はこんな事やってアクセスが稼げると思ってるんでしょうか。知能程度を疑います。


ラボ・エクセルシオ:20世紀・日本と世界(III)を聴いてきた  (2010.02.07)

毎週土曜日にいつも行っている仏語の講座が2月からは大学入試ロックアウトになるため一旦終了。そんなわけで2/6は午前中野暮用を色々と済ませた後、晴海トリトンスクエアの第一生命ホールでのクアルテット・エクセルシオの演奏会「ラボ・エクセルシオ:20世紀・日本と世界(III)」を聴いてきた。曲目は以下の通り。

アリフレート・シュニトケ:弦楽四重奏曲 第二番および第三番
西村朗:弦楽四重奏のためのヘテロフォニー
弦楽四重奏曲 第二番「光の波」

シュニトケの弦楽四重奏曲の予習にはクロノス・カルテットによる全集版を、西村朗の二曲についてはアルディッティ四重奏団による録音を参考にした。スコアについては弾く機会もなかろうとの理由から未入手。

以下感想。
シュニトケ:弦楽四重奏曲第二番
コンサートのライナーノーツではこの曲は強烈な旋律を持つ第二・第三楽章が聴き所だと思わせるような節があったのだが、むしろ私が惹かれるのは第一・第四楽章のハーモニクスで静かに奏でられる悲歌だった。ホールの規模を考えるとこういう極めて静謐な旋律、あるいは音にならない音を聴かせるのはなかなかに難しいことは承知しているが、きちんと聴かせる水準だったと思う。
中間楽章の激しい部分は「よく頑張りました」という形容がまずは似合うだろう。合わせるべきところはしっかり合わせ、その他の部分はバラバラの音価と旋律でフルパワーで突っ走るという極めて難易度が高いパッセージが続くわけで、体力面も含めてこのクアルテットの実力は現代曲の演奏(現代の弦楽四重奏は少なくとも技術的に極めて高度なものを要求するものが少なくない)に耐えられるだけの水準にあることを確認する。でもこの曲、激しい楽章の旋律がカンチェリの交響曲第五番とかグレツキの弦楽四重奏曲第一番「既に日は暮れて」に何か似てるんだよなあ……。中世ロシアの聖歌から音楽語法を見つけているという点では共通しているので、仕方ないのだが。

シュニトケ:弦楽四重奏曲第三番
前曲にも増して引用だらけらしい曲。小生は「大フーガ」の主題とショスタコ音階となんか「ロザムンデ」っぽい旋律の断片くらいしか聞き分けられませんでしたか、その範囲でも引用と明らかに分かる部分はそれなりに強調して弾いていたような印象。ただ、それに引きずられたのか、1stVnがソロで歌う局面ではもう少しやりたい放題やってもよかったのではないかとも思うが、このあたりは解釈の問題なので仕方ないが、第三楽章のフィナーレはテンポ・密度ともに非常に聴き応えのある内容で、全般的にはうまくまとめていたと思う。

西村朗:弦楽四重奏のためのヘテロフォニー
西村朗といえば他にも「鳥のヘテロフォニー」とかのヘテロフォニーで有名な人だが、この曲はその出発点にあたるものらしい。存外に聴きやすい曲だが、ハーモニクス奏法も交えた中でのグリッサンドの交差する場面などでは一部聴きづらい場面もないではなかったが、旋律自体がどことなく東アジア的な雰囲気が漂っており、教会スラヴ語の香りが漂うシュニトケとは好対照をなしているように感じられた。
個人的にはもう少し各パートが分離してバラバラの旋律を奏でるような解釈が好みではあるのだが、特殊奏法のところの音の際だち方が今ひとつ弱かったかもしれない。ただ、参考にしたのがアルディッティSQによるものなので、彼らの破壊的な弾き方と比べるのが間違っているといわれればそれまでの話だが。

西村朗:弦楽四重奏曲第二番「光の波」
アーヴィン・アルディッティが「演奏の難しい曲を頼む」と依頼してきたというとんでもない曲。実際弦楽器を使ってケチャをやるような内容で、第二部の支離滅裂魑魅魍魎阿鼻叫喚(褒め言葉)ぶりは一回生演奏で聴かないと分からないだろう。実際CDで聴いていたらどういう弾き方をしているのか全く分からない箇所が山のように出てくるのだが、実際に弾いている光景を「見る」事ができるのだから長生きはするものだ。しかも散奏の部分は気合い十分でバッチリ突破。プロとはこういうものなのだと改めて驚く。
勿論、細かいことをいえばスピッカート奏法の箇所はもう少しパワーが欲しいとか、「あれ?」と思うような箇所が数カ所なかったわけではない。だが、このような曲をあえて演奏しようと挑戦し、そして一定の水準で実際に演奏しきったその度量と技術は賞賛されて然るべきだろうし、それはカーテンコール時に登場した西村朗氏の表情からも伺うことができた。

休憩時に購入した彼らのCDのライナーノーツには、オーケストラ等と二足のわらじを履かない専門の常設弦楽四重奏団として活動することがいかに経済的に困難を伴うのかが綴られていた。S席が数万円する外国オケの日本公演はすぐにチケット完売になってしまうのに対し、いくら現代音楽の室内楽演奏会とはいえ700席足らずの第一生命ホールが半分程度しか埋まらないという現状に、なんだか残念な気持ちを抱かないではない。


build by HL-imgdiary Ver.1.25