2004年09月
ダメ人間  (2004.09.28)

体がだるい。寝不足のまぶたに生まれたての朝はまぶしすぎる。
『それから』読了。代助のダメ人間ぶりが自分のそれと余りにも近いので救いようもなくメゲる。最後、代助は狂乱状態で電車に乗っていくのだが、今日職安帰りに乗った電車の車内の私の脳の爛れ様もそれに近いような感じがした。海馬の辺りが焼きフォアグラのようにじゅうじゅうと音を立てて溶けながら崩壊していくのが目に見えた。
解説で柄谷行人はこの時の代助を「狂気」と形容していたが、現実の諸契機を全て相対化することで生きてきた主人公が、生存という一種の暴力的要請によってそれを捨てなければならぬ時の苦痛は想像するに難くあるまい。

価値とは何なのか。

ニヒリズムの深淵が再び口を開けている。


我が名はレギオン  (2004.09.26)

入江さんの「幸福」に関する疑問。
「幸福は何か」という問いは文明のはるか古代から存在しており、それにまつわる数々の名句も枚挙にいとまがない。不幸と言いうるもについては貧困絶望孤独飢餓誤解殺戮暴力疲弊病弱無理解無力失恋等々いくらでもその具体例をすぐに片っ端からいくらでも挙げることができるのだが、幸福なるものがその対義語で充足されるかと言えば少なくともそうではないように私には思われる。人間とはかくも欲が深い生き物なのだろうとも思う。不幸に打ちひしがれている時は私達はそれらの充足を彼岸の閃光のように欣求するのに、いざそれらが充足されてみると今度はあれも欲しいこれも欲しいのに私にはそれがないからだから不幸、と悲劇のヒロイン・ヒーローを気取ってみたりする。かく言う私だって世界有数の先進国に住んでいてそれなりに経済的には生物的水準での困窮のない生活を送らせてもらっているが、それでも日々あれも欲しいしこれも欲しいのに私にはそれがないし能力もないからチクショウグチグチとこぼすことは少なくない。つかヘタすると一日中グチグチ言っていることもあるくらいだ。だったら仕事を探せという感じなので明後日には職安に行って色々手続きしてくるけどさ。

とするならば、幸福を色々と論じることは余り意味がないのではないかとも思う。幸福の条件を全て精神論に還元してしまうやり方は極めて危険ではあるしそんなのは先進国に住んでいるニューエイジかぶれの阿呆共に任せておけば済む話だが、同時に不幸としか言いようのない状況の中にあってそれでもそれらを徒らに嘆くこともなく、また全てを自暴自棄に放擲することのない精神を持つ人々の高さを垣間見る時、私が最近とみに思うのは、幸福とはまた別に人間の精神を満たし力付けてゆく別の審級というか要素があるのではないか、そしてむしろそれらを意識して生きてゆくことの方が意義があるのではないのか、ということだ。ドストエフスキーならばそれを素朴派の信仰の裡に見いだすであろうし、ニーチェならばそれを力そのものの気高さとして捉えていくのかもしれない。そしていまの私に欠けている最も大きなものは、このようにして精神を導いてゆく、より大きなものに対する全幅の信頼であり、帰依であるとは思う。

でもそれは私には「禁止されている」。可能なのは、そうした世界が存在するのだ、あるいは存在しなければならないのだという意識を持つことだけであろうと思う。だが同時に、破砕の境遇に身を置き続けることなしには、善なるものについて私は自分で、否定の神学の中で考えることができないのではないかとも思う。


帰ってきました  (2004.09.25)

というわけで帰ってきました。
相当な疲労のせいか、話を書くのはまた明日ということで。

で、何でそんなに疲労したか、というと。


  1. ホテルで空港行きのタクシーを呼んだのに1時間待っても来なかった。
  2. 「待ってたら来ます」ということを抜かしたホテルの受付と大喧嘩。
  3. 仕方がないのでリムジンバスに乗るべくスーツケースを転がさずに抱えて走りまくった。
  4. 空港のセキュリティチェックが異様に厳しくてベルトまで外された。
  5. 免税窓口が「安全確保のため」というワケワカメな理由で閉鎖中。かなり損した。
  6. 搭乗したエールフランスの飛行機があちこち故障していてランプも乗務員呼び出しもビデオも見られない状態だった。
  7. 諸般の事情で一時的に席を替わったら、隣に座ることになった日本人のオバチャン二人連れが異様に馴れ馴れしくて閉口した。
  8. いい加減困り果てたので席をさらに替えさせた。そのための交渉などで断続的にしか寝られなかった。
  9. 成田が近づいてきたので席を元に戻すことを要求したら、件のオバチャンが「どうせお前はビジネスクラスに移動していたんだろう」とか訳の分からないことを私の同行者に難癖付けていたらしい。文句があるなら私に言えばいいのにねえ。
  10. 事態を解決できない客室乗務員では話にならないので、チーフパーサーと交渉。
  11. 朝食がビニールを食っているみたいでまずかった。
  12. 機体が小さいせいか乱気流でガタガタ揺れて気持ち悪くなった。

そんなこんなで未だに頭痛が少しする。

エルフラはオーバーブッキングの乱発やら乗務員のサービスの質の低さで前々から知っていたが(今回はやむを得ない事情があった)、これほどひどいとは思っても見なかった。私用では二度と乗るまい。


おしらせ  (2004.09.01)

えと、9/5から三週間ほど家を空けるので、メールの類は一切読めません、多分。
急ぎの用がある方はお早めにご連絡下さい。また、その間に何らかの連絡が必要な方は、可能な時間と連絡先をお教え下さい。


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