★動くぞゴルァ!


デモといえば組織動員が付き物で、大人数を掻き集めるには労組などが動員をかけることが大抵の場合不可欠だが、今回のデモも今まで書いた組織の他にもいろんな所が参加を呼びかけている。例えばフランス人権連盟CGT(Confédération Générale du Travail:労働総連盟)なんかも参加している。で、その他にも有名どころとしては緑の党なんかも参加していた。赤色一辺倒になりがちな旗指物のなかで、彼らのプラカードは結構異色だった。
なお、右に写っているのはどこの団体だか忘れました。ごめんなさい。ちなみにその奥にある建物は結構高級なホテルチェーンのホリディ・インです。観光客は驚いたかも知れないなあ。

再び広場にちょっと戻る。人いきれで酸欠(笑)。赤い服を着ている人が結構多いのがお分かりいただけるかと思う。
奥に居並んでいる黄色いものは小さいプラカードで、「ウチのダチ公に触るんじゃねえ!(Touche pas à mon pote!:なお、"pote"という言葉には「差別反対者」という意味もあり、動詞Toucherは「手出しをする」という意味もある)」と掌形の板に書いてある。中には「ルペンにノン!」とそのままのメッセージを書いてあるのも何枚かあった。この団体もシールを配っていた。で、どの団体もシールだけでも数千枚、ビラも合わせると数万枚を配布していたわけで、1週間でよくこれだけ大量配布できるくらい刷れるなあ。その機動力には驚いたと同時に感心した。


「動くぞー!」と誰かが叫んだ。通りに戻ってみると広場も含めて完全に人で埋め尽くされているのが見える。地図で寸法を測ったところ、撮影地点からこの写真の一番奥まではおよそ250m。レピュブリック広場自体はおよそ300m×100mの長方形をしており、その広場が人で埋まった恰好になる。広場以外の通り沿いにも人は鈴なりになっていて、相当な人数が出てきているのが分かる。

さらに写真をもう一枚。髪の色を見れば分かるとおり、今回のデモには様々な人種・民族の人々が集まってきている。極東系の参加者は概してこういうときには少ないものなのだが、それでも相当な人数が参加していた。反極右の広がりの大きさと根強さを感じることができる。
なお、バナーに使った「No pasaran!」とはスペイン語で「やつらを通すな」という意味で、スペイン内戦の時に国際義勇軍のスローガンの一つとして使われた言葉で、今回のデモでもあちこちで貼られていたりシュプレヒコールの台詞として使われていた。FNとナチズムの関係を考えるとこのあたりはぴったり響き合う。それにしてもうまい言葉を引っ張ってくるものだと、その語彙と歴史性に対する意識に感心する。感心してばっかだが。


3時10分。さあ行進開始だ。交通規制が敷かれているのだから信号は意味をなさなくなっているのだが、それでも赤信号やら緑信号に切り替わったりしているあたりが笑える。遠くを見晴らすために信号に登る輩が後を絶たない。デモの途中ではバス停の屋根に登って旗を振り回していた高校生とおぼしき連中も数多くいた。
頼むから公共物は壊すなよ。


その2へ   その4へ