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本:小説(英米) アーカイブ

2007年01月03日

フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』

フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を読了。

周知の通り『ブレードランナー』の原作だが、全くの別物と見た方がいい。話の内容は巻末の解説にもしっかり書いてあるとおり、「人間とは何か」を問うもので、その解答として著者は他者に対する感情移入を挙げているわけだが、それだけだとどうも掘り下げが浅い読後感しか招かないようにも思う。『ブレードランナー』だとルトガー・ハウアーが辺境惑星での労働がいかに酷たらしいものであるかを切々と訴えたりして、それに鈍感なままの人間のあり方を厳しく糾弾したりして結構考えさせられる内容も多いのだが、もちっとアンドロイドと人間の連続性を強調した上でその図式をひっくり返すところまで(つまりアンドロイドのほうがより『人間的』であるとか)やった方が問題提起としては射程が長くなったのではないかと思う。

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