12月30日
 新年は、死んだ人をしのぶためにある。
 心の優しいものが先に死ぬのはなぜか、
 おのれだけが生き残っているのはなぜかと問うためだ、
 でなければ、どうして朝から酒を飲んでいられる?
 人をしのんでいると、独り言が独り言でなくなる、
 きょうはきのうに、きのうはあすになる、
 どんな小さなものでも、眼の前のものを愛したくなる、
 でなければ、どうしてこの一年を生きてゆける?
(片桐雅夫「きのうはあすに」)


31日から1月2日まで家を空けるので、今年の更新は今日が最後となります。皆様、よいお年を。




12月28日
  ヘボライターが頻繁に書き散らす、いわゆる「自分語り」のエッセイがひどくつまらないのは、そこに不気味な自己弁護が明確な形で示されているからである。私は悪くない、私は悪くない、だから私ってステキでしょ?という塩梅だ。そこには反省も無ければ人の意見を聞こうという意志もない。そんなんだったらクソして寝てろ、と言いたくなる。自分語りをする暇があったらモンテーニュでも読むか芸でも磨け。
  同様のことが最近巷間で喧しく使われる「というか」(及びそれに類する表現)にも言える。連繋辞「というか」は「と言うか」と書けることからも分かるとおり、先行する言辞の言い方そのものを一旦捨てた上で新たに言い直す場合に一般的には用いられる。従って先行する言辞が対話相手の場合、それは対話相手の言辞を一旦全否定する効果を持ち、なおかつ時系列的には自己の立言の方が優位なのよ、という事を共示しているのである。対話者の発話行為が否定される以上、それは即ち対話者の否定であり、圧倒的無根拠による自己弁護の連続に他ならない。「というか」という言葉が私を不愉快にするのはその為だ。




12月26日
  うそをつくのはいけないとおもいます。特に堺屋太一




12月25日
  私とメールやりとりをしてくださっている方は知っていると思うが、私はメーラーとしては滅茶苦茶評判の悪いOutlook Express(Ver 6.00.2600.0000)を使っている。セキュリティホールてんこ盛りでワームは勝手に実行しちゃうしデフォルトではウザ度満点のHTMLメールを送るし、昔のバージョンではメールヘッダに半角カナをブチ込むという荒技をかますとやりたい放題の壮絶なメーラーであるという評判は実際知っている。んなのは常識。
  ではなんでそんなクソみたいなメーラーを未だに使っているかというと、多国語にまともに対応したメーラーが現在でもBecky!とNetscape Messengerしかないからである。前者については昔導入を検討したのだが、その当時はBeckyも多国語に対応しておらず、フランス語とかのメールを受信するとものの見事に文字化けして何が何だか分からなくなったので止めた。後者は操作性が余りにも末期的なので論外であった。
  個人的には侠気のある電信八号あたりを使いたいのだがこれも文章を書く際には外部エディタを起動するためダメ。え?Meadowを使えって?
  セキュリティにうるさい人々はOEを使うこと自体が犯罪のように言うが、だったらフリーで多国語対応のメーラーを開発して欲しい。言っていることがクレクレ君なので恥ずかしいことは事実だが、文系人間でオブジェクト指向言語という概念自体が全く理解できないというダメな私なのでそのあたりは勘弁して欲しい。

  某社に電話。結果は後一月くらい掛かるとのこと。【追記】難しいそうです。困ったな。印税ゼロを覚悟の上でウニベルシタスに持ち込むか。

  アイコン式掲示板は板の状況が余り好ましくないのと、デザイン変更をそろそろする必要があるので、恐らく今日中に閉めます。ログは残しておきますが、ページ丸ごと残しておきたい方はお早めに。




12月24日
  今日はちゃんと起きられるといいな……
  さて、2年くらい前(某酒鬼薔薇の事件の頃からか)から、「なんで人を殺してはいけないのか」というというについての議論が少しく喧しい。ロールズがどのような論法でそれを立証しようと試みようが、かの大審問官の場面を想起せずともこの手の問いは突き詰めていくと実はいかなる仮言的な答えも不可能であることが分かる。つまり、「〜だからダメ」という答えは実質的に存在しないのである。大江健三郎が「このような問いが存在する事自体がダメだ」と言っているのは恐らくこのような仮言の不可能性を見据えてのことだろう。
  即ち、このような問いは常に定言的な形で解決されざるを得ない。しかしこのような観点は常に隷従の強制という問題を伴っている。なぜならあらゆる定言的なものを許すのであれば、それに対する態度は隷従かさもなくば暴力による反抗しか認められなくなるからだ。「人を殺してはならない」という命題の困難の本質は恐らくこの反証可能性の保持にある。そして反証可能性をタテに自我が自らの非媒介性を反省しないのであれば、恐らくいかなる共同も私たちには不可能になるに違いない。
  90年代以降の思想が急速に「見えざるもの」に傾斜していくのはこの定言の不可能性と無関係ではない。このような主題はその否定神学的性質において非常にユダヤ的ではあるが、その「見えざるもの」が措定するのは「殺す勿れ」という命法の非根源的な根源である。ヴィトゲンシュタインに対するアドルノの反論同様、思考すること、就中その定言不可能性に抗して定言の意味を思考することが私たちに求められているのではないだろうか。




12月23日
  ああ、柏のT-Zoneも潰れちゃうのね。でもT-Zoneの近くにあったコンプマート柏(店内でフロアマネージャーがバイトの店員を叱ったりしてるし、MS-Office2000 proofing toolsを買おうとした時も女性店員に「そんなの知りません!」と大声で言われたよ。仕方ないんで店内のネット端末で見せてやったらなんか額に青筋立ててたね)に比べれば店員の対応もずっとフレンドリーで品揃えもマニア好みで良かったんだけどなあ……。確かに一時帰国したときに行ったら店内が既に撤収風情漂う悲しさだったな……

  Olivier Dekens 『リオタールと政治(の)哲学』Lyotard et la philosophie (du) politique (Editions Kimé, 2000)を訳しつつ読み進み中。なんか付属修飾節がやたら長くて読みにくいんですけど、これってやっぱわたしがバカだらですかね。




12月22日(その2)
  このコラム、アベックは今時使わないだろう。
  言い添えておくと、「アベック」というのはフランス語のavecで、「〜と共に」「〜を使って」等を表す前置詞。要するに英語のwithとかドイツ語のmitとかラテン語のcumと同じ。だからそんな言葉を一組の恋愛関係にある人間を形容するのに使うのは恥ずかしい、ということで近年は消滅方向にあった用語だ。同様にして「ランデヴー(rendez-vous,(面会とか集合の)待ち合わせあるいは約束の意)」や「アヴァンチュール(aventure, 冒険や意外な事件の意。一応情事という意味もないではないがほとんど使わない)」なんかもある。うう、書いてて恥ずかしくなってきた。
  そんなわけだから普通はその代わりにカップルとか言うようになってきた(この語も結構恥ずかしいけどね)と思っていたのだが、どっこいこういう泥臭いというか頭痛のするコラムでは使っていたのね、と認識を新たにしたよママン。

  なお、もっとクラクラする作文が読みたければ、こちらへ。壮絶な誤字脱字満載+パクり疑惑もてんこ盛りの新日本語が読みたければ、田口ランディのコラムがオンライン上には結構転がっているのでそれでも構わない。ただ、事後の体調の悪化とか三半規管の変調とかには責任は負わないよ。

  先日はカルボナーラに挑戦してみた。結構難しい部類に入るパスタものらしく、卵黄がダマになってしまった。卵黄がほぐれる前に高熱に曝すのが問題なのであるから、と考えて次回は作り方を変えてみる予定。さて、どうなることやら。




12月22日
  ここ2週間余りもの間、実はtunnel-comapny.comのメールサーバーの調子が悪い。メールを読みに行っても3回に2回はkickされるという素晴らしい塩梅であった。外国の腐れスパマーから踏み台にすべくアタックでも受けてるんかいな、と思ってほったらかしにしておいたら昨日から本格的にアクセスが拒否されるようになった。Pingを送ってみるととりあえず鯖は生きているようなので、アクセス拒否かなと思ってメールを送って問い合わせてみても全然返事がない(Tunnel-companyのトップページを置いているバリューコマースはメールを送っても無視されるのはいつものことだが)。電話してみたところメールサーバーのメンテが失敗してパーになったらしい。話っぷりからしてメーラーデーモンの設定に失敗したか(つまりはユーザー設定を全部飛ばしてしまったということ。1chの管理人じゃないのだから勘弁してくれよ)ディスクアレイそのものが死んだらしいのだが、緊急サポート用の電話(070-6119-1728、つまりPHSなのは勘弁きついよ)にかけても全然つながらないのはどういうことですか?月\2500+400(1popアカウントあたり)というレンタルサーバーとしてはかなり高い料金設定のクセして客をなめてませんか?cgiさえ使わなければそこそこ使えるさくらインターネットへの乗り換えを真剣に考えるときだと思わないか、同志よ。

そう言えば、某社に原稿を送って一月経つが返事がない。どうしましたか?

追記。翌日昼頃(日本時間夜8時頃)「直りましたゴメンナサイ」という電話が掛かってきました。対応は誠実で好感の持てるものでした。でも、「なお、障害報告につきましては、後日メールにてご連絡申し上げます。」っていうのが来ていないんだけど、どうなった?




12月21日
  昨日AIUから電話がかかってきて、保険金は12月初旬に振り込んだとのこと。まあ、確かに保険約款には保険金支払遅滞についての賠償とかについての記載はないから、極端なこと言えばナンボ遅れてもいいということになるのだろうが、ちょっとひどい。テテーイ的に小一時間問い詰めちゃうよ。

  それはさておき、いつのバージョンからかは知らないが、ATOKでは白痴とか気違い(あるいは気狂い)とか群盲とか盲(めしい)とか唖(おし。「あ」で変換可能)とか跋(びっこ。「ばつ」で変換可能)といったいわゆる「やや問題があるかもね」といった用語が変換できなくなっている。仕方がないのでこれらについてはユーザー辞書に登録して使っているのだが、仮に語用論的観点からすれば差別的性質が語そのものに内在しているとしても、その変換までダメにしてしまうのは明らかな誤りである。なぜなら差別的意味を含んだ語の価値規定は文脈に依存するからである。例えば坂口安吾の『白痴』は精神障害者に対する明白な差別を含んでいるかというと、そんなことは全くない。ドストエフスキーの同名の小説にしてもゴダールの『気狂いピエロ』にしても同じだ。
  勿論私のように辞書に登録してしまえばそれで何ら問題はないのだが、つまりはそんな面倒臭い手間掛けさせるなコンチキショー、ということです。


追記。某所からのリンクがいつの間にやら外されていた。わらい




12月18日
  日本に一時帰国していたせいもあって、一月以上間隔が開いてしまった。すんません。

  さて、今日香水屋のガリマール社からカタログが届いた。封筒自体が既に香水臭いのがスゲーとか思ったりしたのだが、これは8月上旬に南仏に行ったときにグラースにある同社の工房で調香をさせてもらって、そのついでに申し込んでおいたものである。ということは届くまでに4ヶ月以上も経っているという素晴らしさ。まあ、タダだからいいのだが。
  で、南仏に行く前の7月中旬に私は過労で数日間寝込んでいて医者を呼んだりしたのだが、この時に買った薬の保険金がまだ支払われていない事を思い出した。なお、通常保険金は重大なケースでもない限り3ヶ月以内に支払われるのが普通である。一体どうなってんだ、ということで10月中旬に電話したときには「コンピュータが壊れて云々」というダメな蕎麦屋の出前みたいな言い訳を言っていたのだが、未だに来ないところを見ると(保険金の請求書が届いていることは確認済み)コンピュータどころか支払決済担当者の脳味噌も壊れてしまったのではないかと考えざるをえない。保険証書のフランス語版を請求したときには別の顧客の住所をそのままバッチリ書いていたりするし。
  ちなみに、この客をナメくさった保険会社とはAIUである。保険会社としての評価がAAAとか宣伝では言っているようだが、そんなのは実質的にはウソである、あるいはサービスの質とは何の関係もないと思っといた方がいいようである。


10月25日
入口で困惑する皆さん
  ルーヴルのストは相変わらず。昨日と今日はRATP(Réseau Autonome des Transports Parisiens:パリ市交通営団)の一部もストに入っている。先日入口に屯っていやがったCGT(フランス連合労組の一つで、実力行使の傾向が比較的強い)のオッサンに「これは観光客を人質に取っているのも同じであり、彼らが一生の間ルーヴルを訪ねることは何度もないと思うのだがどうか」と問い詰めたら無視された。どうやらフランスの労組とは外国人を無視することで成立するらしい。明日もストならCGTにメールでも送りつけよう。
  そんな最中、滞在許可証を更新してきた。当然の如く私はここではガイジンなので、3ヶ月以上滞在する場合には滞在許可証がいる。実は(よく知られているとおり)フランスのイミグレは金さえ持ってて不法就労しなければそれほどうるさいことは言わないのだが、家賃補助(月に17000円弱出る)を受けるためには担当の役所に滞在許可証を送らねばならないので、昨日と今日Préfecture de Policeに行って申請をしてきた。
  で、今日は2時間程度で手続きも無事終わってセーヌ河岸をダラダラ歩いてルーヴルのストを確認してスト員のアホ面に対戦車ミサイルを一発ぶっ放してきた(ウソ)わけだが、昨日の役所は本当に疲れた。昨年大学院の先輩から「5時間待ってようやく更新した」なる苦労話を聞かされていたため、8時半には現地に着いて並んでいたのだが、凄まじい人の数である。いろんな話を綜合(←笑)すると、今年はさらに学生がウジャウジャいるらしく、家賃は昨年に比べてもかなり高くなっているらしい。そんな理由もあって15区のPréfecture de Policeには人がいっぱい。ここにその写真を載せておきます(ウィンドウサイズ600×540になってますので、SVGA環境でブラウズしている人は注意してください。しかも全体を見るにはスクロールを要します)が、ちょっとこれはひどすぎ。
  が、それはやはり先方も承知しているようで、シテ島の警視庁で代わりに手続きをするための用紙を配っていたのだが、警察の服も着ていなければジーンズにセーター姿という極めてラフ過ぎな恰好なので怪しさ全開。ほとんどの人間が見向きもしないという有様。とりあえず用紙をもらってみると、金よこせとかは書いてなかったので信用して今日警視庁に行ってみたところフシギな事にきちんと更新できたのであった。
結果オーライヽ( ´ー`)ノ



10月21日:Quand est-ce que l'on rouvrira le Louvre?
特派員写す
  10月に入って観光シーズンも一段落したせいかストが頻繁に起こる。以前知人に「日本は地震があって怖いねえ」とか言われた時、「なあに、阪神淡路大震災クラスのは滅多にないわけだし、普段の地震も(フランスの)ストに比べれば頻度は低いので別段大したことないですよ」と言ったらすげえヤな顔をされたが、そのくらいフランスではストが頻繁に起こる。月に一度くらいは地下鉄やらバスが止まるし、年に何回かは公共交通機関と名の付くものが全部止まる(空港に行く電車とかバスはさすがに走るが、それでも本数やらダイヤはメチャクチャ)。

入口の様子。呆気にとられた観光客の姿が涙を誘う
  そんなわけで、昨日からルーヴル美術館もストに入っている。10/11に行われたヤツはスト予告があったのだが、今度のはそれもない。
  このような場合、一番迷惑するのは観光客である。中には何年も前から今日のルーブル見学を楽しみにしていた人だっているわけだ。日本からの観光客のように、1万キロくらい離れたところから来る人だっている。今回のストは、代替手段を確保しうる、あるいはそれによる人生そのものへの損害が少ない現地人を巻き込むのみではない。観光客をいわば「人質」にするという点で、今回のストには賛同できない部分が少なくない。せめて一部コレクションだけは公開するとか、3翼(ルーヴル美術館はリシュリュウ翼、ドゥノン翼、シュリー翼の3翼から構成されている)のうち1翼あるいは2翼だけを閉めるとかの方法があるはずだ。
  ストをするなとは言わない。が、社会的な支持を失うようなやり方でのストは将来的には明らかにマイナスである。今回のスト員には、「ほっといたってルーヴルはいつだって千客万来さヘヘン」という驕りと予断がありはしないだろうか。そのような意識が労働運動そのものを腐敗させるのであると私は指摘しておきたい。真剣さと深刻さを欠いた主張に耳を貸す者など、いない。


10月15日
Neverlandの就職希望者アンケート
【答え】 Que sais-je?
おしまい。
それはそうと、11月から一時帰国のため一月ほどメールを読めなくなります。読めても頻度はムチャクチャ低いと思います。ですので、ご用件のある方はできるだけ早めにメールをください。


10月13日
9月で書いたIE6の問題は仕様の変更に伴うものだった。そういえば以前、IEのWidthとHeightオプションの解釈はW3Cの標準と違うと聞いたことがあるなあ。
そんなわけなので、それの勉強というか最近さび付いてきたスタイルシートの修練も兼ねてトップページ改訂。ところがpositionでムチャをしすぎたせいか、NN4.xで読み込むとブラウザそのものが落ちてしまうというトラブル発生。
仕方がないのでブラウザによって飛び先を変えるスクリプトを組み込んだ別のトップページを用意。疲れた。